とある午前
ぽてこ:伊藤さーん、今日の営業報告書はもう提出しましたか?
伊藤:ああ、まだだよ。忙しいんだから、ちょっと待ってくれよ。
ぽてこ:でも、今日中に提出しないと、上司に怒られますよ。私も伊藤さんの分をまとめて報告しないといけないんです。
伊藤:じゃあ、お前がやればいいじゃないか。今日は大事なお客さんと打ち合わせがあって、時間がないんだよ。
ぽてこ:えっ、でも、それは伊藤さんの仕事ですよ。私は自分の仕事で精一杯なんです。
伊藤:だから、お前がやればいいって言ってるだろ。お前は新人だから、仕事を覚えるためにも、俺の分もやっておいてくれよ。感謝感謝。
ぽてこ:そんなこと言っても、私は伊藤さんの仕事はやりませんよ。自分の仕事は自分でちゃんとやってください。
伊藤:おいおい、そんな態度はどうかと思うぞ。俺は先輩なんだから、敬意を持って話してくれよ。お前に仕事を教えてやってんだ、感謝しなさいよ。
ぽてこ:むしろ、このように伊藤さんをフォローしたり、クレームを処理したりしていますよ。
伊藤:なに?俺にはフォローされるような仕事ぶりなんてないよ。お前が自分の判断でしたんだろ。俺はいつも完璧な仕事をしてる。
ぽてこ:伊藤さんはいつもデータを間違えたり、納期を守らなかったり、お客さんに失礼な態度をとったりしてますよ。私はいつも伊藤さんのせいで苦労しているんですが・・・。
伊藤:お前は文句ばかり言って、仕事を邪魔してるんだよ。俺はお前に頼まれてもいないのに、仕事を任せてやってるんだ。感謝しなさいよ。
ぽてこ:仕事を任せてくれているんじゃなくて、押し付けているんですよ。
伊藤:俺に反抗してるのか?先輩だぞ。俺に従わないと、仕事ができなくなるぞ。
ぽてこ:もう!とにかく報告書の件は今日中にお願いしますよ!
昼休み
ぽてこ:くっそー。伊藤さん、なんでいつもあんな態度なんだ。
トモヤ:ぽてこ、どうも。仕事のことで悩んでいるようだけど、大丈夫?
ぽてこ:トモさん、こんにちは。実は、伊藤さんが仕事の進捗がいつも悪くて、私や他の同僚に迷惑をかけているんです。伊藤さんは仕事に対してやる気がないし、自分のミスを認めないし、文句ばかり言っています。どうすれば伊藤さんに仕事をやらせることができるんでしょうか?
トモヤ:そうか。それは大変そうだ。伊藤さんの欲求がどの段階にあるかを考えてみると、解決のヒントが見つかるかもしれないよ。
ぽてこ:欲求がどの段階にあるか?それはどういうことです?
トモヤ:マズローの欲求5段階説という心理学の理論を知っているかな?
ぽてこ:マズローの欲求5段階説?聞いたことはありますが、詳しくは知りません。
トモヤ:マズローの欲求5段階説とは、人間の欲求を5つの段階に分けた理論。下から「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求(所属と愛の欲求)」「承認の欲求」「自己実現の欲求」と並ぶ。この理論は「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」という仮定のもと、成り立っているのが前提だよ。
ぽてこ:なるほど。で、それが伊藤さんの仕事の問題とどう関係するんですか?
トモヤ:伊藤さんの欲求がどの段階にあるかによって、彼のモチベーションや行動が変わると考えられるんだ。例えば、伊藤さんが生理的欲求や安全の欲求に不満を感じているとしたら、仕事に集中できないし、ミスをするのも当然。その場合は、伊藤さんの生活環境や健康状態を改善することが必要だよね。
ぽてこ:伊藤さんは生活に困っているわけではないし、病気でもないですよ。むしろ、伊藤さんは自分のことばかり考えていて、他人のことは気にしないんです。
トモヤ:そうか。それなら、伊藤さんは社会的欲求や承認の欲求に不満を感じているのかもね。伊藤さんは仕事で評価されたいと思っているけれど、自分の能力や努力が足りないことを正しく見つめられていないのかもしれない。だから、仕事を適当にやって、自分のミスを他人のせいにしたり、文句を言ったりしているのかもしれない。
ぽてこ:なるほど。伊藤さんに仕事をやらせるにはどうすればいいんですか?
トモヤ:伊藤さんに仕事をやらせるには、社会的欲求や承認の欲求を満たすことが必要だという仮定でもって解決に臨んでみてはどうだろう。伊藤さんに仕事の意義や目標を伝えて、彼が仕事に関心を持つようにできないだろうか。何かしら、伊藤さんのよくやった仕事の成果を認めて、彼に自信を持たせるといい。そして、伊藤さんの仕事の改善点を指摘というよりも更なる高みとして伝えて、彼に自分のミスを見つめさせられるとよいと思う。
ぽてこ:ふむ。でも、伊藤さんは自分のミスを認めないし、人のアドバイスを聞かないんですよ。
トモヤ:それは伊藤さんの自尊心が低いからだと思う。伊藤さんは自分の能力に自信がないから、自分のミスを認めると自分の価値が下がると感じている。そういうマインドからくる嘘や怠けは本当に多い。だから、伊藤さんに自分のミスを認めさせるには、彼の自尊心を高めるからも必要な可能性があるね。
ぽてこ:自尊心を高めてもらうにはどうすればいいんですか?
トモヤ:自尊心を高めるには、やはり伊藤さんの長所や強みを見つけて、それを褒めたり、活かしたりすることがいい。伊藤さんに自分にもできることがあると気づかせること。また、仕事の責任感ややりがいを感じさせ、自分の仕事が他人にとっても価値があると思わせることだね。
ぽてこ:なるほど。伊藤さんの自尊心を高めて、社会的欲求や承認の欲求を満たしてもらうことで、仕事の進捗が良くなるということですね。
トモヤ:そうだね。もちろん、それだけで伊藤さんの仕事が一変するというわけではないのだけど、少なくとも伊藤さんのモチベーションや態度に徐々に変化が現れる可能性は高いと思います。
ぽてこ:トモさん、ありがとうございます。マズローの欲求5段階説、とても勉強になりました。伊藤さんに対して、もっと優しく接してみようと思います。
トモヤ:いえいえ。ぽてこは仕事に対して真面目だし、同僚のことも気にかけている素晴らしいよ。ぽてこなら、伊藤さんともうまくやっていけると信じているよ。
とある午後
ぽてこ:伊藤さん、私は伊藤さんの報告書の巧みな言い回しでいつも勉強になっているんですよ。伊藤さんは仕事でもっと評価されてもおかしくないです。なので今日の報告書は私じゃなくてしっかりと伊藤さんに書いてもらったもので私も勉強したいんですよ。
伊藤:なかなかわかってるんじゃないの。お前は俺の仕事の成果を認めてるのか?俺の仕事の改善点を指摘してるのか?とりあえず、そこまで言うならやってあげるよ。じゃ、出来上がったらそこからしっかり学んでくれよな。
ぽてこ:了解でーす。伊藤さんはお客さんとのコミュニケーションもこなしながら、しっかりと管轄の仕事もやってくれるんですね。ナイスですよ。
解説:マズローの欲求5段階説
マズローの欲求5段階説は、人間の基本的な欲求を5つの階層に分けた理論です。低次なものから、
「生理的欲求」
「安全の欲求」
「社会的欲求(所属と愛の欲求)」
「承認の欲求」
「自己実現の欲求」
と並び、低次の欲求が満たされると次の高次の欲求が現れるとされています。この理論は、人間が自己実現に向かって絶えず成長するという仮定のもとに成り立っており、自己実現が達成できたものには特定の良好な特徴が見られるというものです。通常先進国で生きている分には、生理的欲求と安全の欲求において問題が生じることはほとんどないですから、なぜ相手がこんなことを言うのか、と悩んだときに3次以降のどのフレームに当てはまるか考えると欲求の解消につながり、仕事がスムーズにいくこともあるでしょう。
30代半ばのサラリーマンです!入社早々から4-5年は、周囲の上司や先輩に酷く追い詰められた経験あり。早朝深夜残業サービス当たり前。今ではそんなしょうもない類の人達を努力で出し抜いて成績優秀者として報奨を得たり役職者になる事ができました。自由に、楽しく、家族第一、それでも活躍できるサラリーマンを日々目指しています。苦しみ悩む社会人を応援するためにブログ発信を決意。
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